イギリス医療制度ガイド
- Yuna Kanai
- 2025年8月12日
- 読了時間: 6分
更新日:2025年8月13日
本記事は一般的な制度の紹介を目的としており、個別の医療判断を代替するものではありません。症状がある場合は必ず医療機関にご相談ください。記載内容は2025年8月時点の情報に基づいており、制度変更の可能性もあるため、最新情報は各公式サイトをご確認ください。
旅行者が救急医療を受ける場合の費用について
イギリスでは旅行者や短期滞在者など「通常居住者(ordinarily resident)」ではない方がNHSの医療サービスを受ける場合、一部のサービスに対して費用が請求される可能性があります(1, 2)。
A&E(救急外来)での初期診察は無料ですが、その後の入院や治療が必要な場合は費用が発生する可能性があります。旅行者の救急車の利用は原則有料です。
統計データでは、日本人旅行者は平均すると77.9%以上が海外旅行時に旅行保険に加入しているということです(3)。
旅行保険に加入している場合は、保険会社を通じて費用をカバーできることがあります。※医療費の請求は病院側の判断によるため、事前に旅行保険の内容を確認し、必要に応じて保険会社へご連絡をされるのが良いです。
旅行保険の利用ステップ
渡航前に居住国で旅行保険に加入します。
居住国の旅行保険に加入している場合は、滞在先から保険会社に電話をすると、母語対応のオペレーターが症状を聞き、対応可能なクリニックを案内されます。
通訳付きで現地クリニックを受診できることもあります。近隣に旅行者の母語で対応可能なクリニックがある場合は優先的に案内してもらえることもあります。
自分で現地医療機関を利用した場合は後で支払いを請求することができることもあります(4)。
イギリスの医療制度とNHSの基本情報
イギリスでは国民皆保険制度が導入されており、基本的な医療サービスはNHS(National Health Service)によって提供されています。住民は「GP(General Practitioner)」と呼ばれるかかりつけ医に登録し(5)、家庭医のような形で診療を受けます。通常、一世帯で一か所のGPに登録し、日常的な健康管理や診察を受けます。学生や長期滞在者(6か月以上のVISAなど)は、Immigration Health Surcharge(IHS)をVISA申請時に支払うため、NHSの無料利用とGP登録が可能です(6)。
GPの診療時間外に体調が悪くなったら
NHSのUrgent Careサービスに電話(111)をかけます(7)。
オペレーターに患者の誕生日(Date of Birth)、現在地、容体などを伝えます。
(イギリスでは日付の順番が「日→月→年」です。例:2000年1月1日生まれ → “First-January-Two thousand”)
初回はオペレーターが対応し、その後医師から電話が来ることがあります。
状況に応じて、様子見で後日GPにかかるよう指示されることがあります。緊急性が高い場合はUrgent Careの案内があります。
英語が堪能でない場合は通訳を依頼できます(別回線で通訳がかかってくるため、時間がかかる場合があります)。
救急車を呼ぶ場合
命に関わる重病や重傷などの緊急時には999に電話します(7)。
誕生日、年齢、現在地、容体などを伝えます。容体はYes/No形式で答えることが多いです。
通訳が必要な場合は申し出ると、別回線で通訳と医師から電話がかかってくることがあります。
GP登録方法
1. 近くのGPを探す: まずは自宅近くのGP(かかりつけ医)を調べましょう。目印は「NHS」の看板です。NHS公式サイトの Find a GP ページでは、ポストコードを入力するだけで近隣のGPを検索できます。近所の方におすすめを聞いてみるのも良い方法です。個人的には、通いやすい距離にあるGPを選ぶのがおすすめです。
受付で登録を申し出る/オンライン登録: GPの受付(Reception)で「登録したいです(I'd like to register)」と伝えると、登録用紙をもらえます(8)。
登録用紙の提出と完了までの流れ: 必要事項を記入して提出すると、スタッフが登録手続きを進めてくれます。登録完了までに数日かかることがありますが、完了するとNHS番号が発行され、診察予約などが可能になります。
GPでの診療の流れ
予約方法
NHSアプリで予約するか、アプリのインストールが難しい場合は電話で予約します。
GPに電話すると順番待ちの番号を教えてくれます(体感では20〜30分程度待つことが多いです)。
症状を伝えて診察の予約をします。場合によってはショートメールで送られてくるリンクに患部の写真をアップロードすることがありました。
感染症などは電話診察と薬のアドバイスで完了することがありました。
診察の流れ
予約時間にGPへ行き、10分〜1時間ほど待って診察
NHSの診察は基本的に無料で、会計はありません
手術が必要と判断された場合や専門医の診断が必要と判断された場合は、近隣の病院に紹介されます
薬の受け取り
医師が近所の薬局に処方箋を送信しますので、指定された薬局で薬を受け取ります。
薬局に在庫がない場合は他の薬局に問い合わせて受け取るか、納品後に再訪します。
処方薬は基本的に有料ですが、子供など無料です(9)。(※Bootsなどで処方箋なしで購入する薬は子供向けであってもOTC(市販薬)であり、NHSの処方薬とは異なり自費になります)
プライベート診療について
イギリスでは国民皆保険が基本ですが、待ち時間が長いためプライベート医療保険に加入する人もいます。
イギリス居住者のうちプライベート保険への加入率は約12%というデータがあります(10)。
プライベート診療は比較的待ち時間が短く、日本のクリニックに近い感覚です。
大がかりな手術が必要な場合などはNHS病院に紹介されることがあります。
プライベート診療で薬を処方された場合は、近隣薬局で購入し支払い、後日旅行保険会社に請求をします。
専門医による診察や手術が必要になった場合
手術を含め専門医に診てもらう必要がある場合は、GPなどによる診察後、NHS病院への紹介(Referral)が行われます(11)。
この項目では、医学的に必要と判断された手術について説明します(美容目的の手術は含みません)。手術は地方都市では大病院1か所程度、大都市では複数の病院が対応しているようです。
手術まで半年以上待つこともあります。病院から電話があり日程調整をします。手術に伴い入院が必要な場合は、事前に案内があります。詳細情報はテキストでファイルが送られることがあります。
イギリスでは退院が日本よりも早い傾向があり、簡単な手術であれば当日退院(Day Surgery)となることがあります。
NHSでは術後の定期フォローアップが行われないこともあり、感染症や異常がある場合はUrgent CareやGPに相談するよう指示されることがあります。
※この情報は一般的な流れを示したものですので、個別の医療判断や治療方針は医師の診断に従ってください。
Reference



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